勝ったお金をあぶく銭だと思ってしまう、人間の脳の構造
ハウスマネー効果
ハウスマネーとは、「ハウス=カジノ」のことです。
つまり、カジノで勝って得たお金という意味になります。ハウスマネー効果というのは幸運などで得られた利益(収入)はハイリスクな使い道に投資をしたり豪遊するなどして使い道が荒くなるなどのヒトの心理的な傾向を指しています。
人は利益を得た直後に大きなリスクを取ろうとしてしまうことが心理学でわかっています。この傾向を「ハウスマネー効果」といいます。
利益を出した分は、リスクをとっても良いと脳が判断・意思決定をしてしまい、普段はやらないようなハイリスクな投資行動をとったり、儲かった分はちょっと豪華な使い道(特に無駄遣い)をしても良いと思ってしまう心理的傾向です。
株や投資の世界でもこうしたハウスマネー効果によってせっかく得た利益を失ってしまったという方は数多くいます。
利益を出して、どのように消費行動を取ろうが、悪いことではありませんが、ギャンブルで儲けた500万円も、頑張って貯めた半年分の貯金も同じ500万円であるということを再認識することが必要なのです。お金に色は無いです。
心の会計【メンタルアカウント】
シカゴ大学の行動経済学者Richard Thaler氏は、次のような問いを設定した。
実験
映画を見に行こうとして、10ドルの前売りチケットを買いました。ところが、劇場に入ろうとして、あなたは自分がチケットをなくしたことに気付きました。(予約席ではなく、払い戻しはできません。)あなたは、もう一度10ドルを払って映画のチケットを買いますか?
この問いに対して「イエス」(もう一度買う)と答えた人は46%にすぎなかった。一方、次の似たような問題では、全く別の反応が見られた。
料金が1人10ドルの映画館に、映画を観に行きました。劇場でチケットを買おうとした時、あなたは自分が10ドル紙幣をなくしたことに気付きました。あなたは、10ドルを払って映画のチケットを買いますか?
こちらの質問では、88%の人が映画のチケットを購入すると答えた。どちらの例でも「失った金額」は同じなのにだ。この劇的な違いは何に由来するのだろうか。
Thaler氏は次のように説明している。
映画を観に行くという行動は、チケット代というコストと引き換えに映画を観る体験を手に入れる。ひとつの取引だと認識されている。チケットを再度購入すると、チケット1枚に20ドルの「コスト」がかかることになり、映画の料金としては割高に感じられる傾向がある。これに対し、10ドルの現金をなくすことは映画の「メンタル・アカウンティング」には含まれていない為、映画代としてもう10ドル出すことは苦にならないとの認識がある。
この心の会計「メンタルアカウンティング」は、脳にはいくつかの財布を所有していて、収入先や使用用途により重要度を分けて、扱い方を変えている。いくら理解していても別の扱いになることで、嫌な気分になったり損をした気分になる。
宝くじで1等を当てた人は、破産する確率が高くなるのもハウスマネー効果の影響があるのではないでしょうか?
気をつけるべきタイミング
このように無駄遣いしやすいタイミングを知っておくことは、無駄遣いの予防に大きくつながるので、理解してくと良いかもしれません。
◎ 株・競馬・FX・UFOキャッチャー
これらは典型的な例ですね。これらで得したとおき、「まだいける!」とばかりにお金をつぎ込んで、結局損をした経験はあるかもしれません。得をしたときでもやはり「止めどき」をきちんと見定めることが大切です。
◎ ボーナス・宝くじ
このような臨時収入はありがたいことですが、そんなときこそ「ハウスマネー効果」を思い出してください。「ボーナスが入ったからいいか。」とばかりに衝動買いをしたり、後輩に必要以上に奢ってしまう。
◎ お年玉
子供の普段使っている以上のお金をもらえる時なので、注意が必要です。
まとめ
臨時的に得をした際には、無駄遣いしやすくなってしまう傾向が脳にはパターン化されているということです。臨時収入が入った時などは、ハウスマネー効果を思い出して糸呼吸おいて再度考えなおして頂ける良いかもしれません。